ボーディングスクールの卒業生たちは、口を揃えて、一生の中でこの時代が一番厳しかったと言います。
特に厳しい最後の2年をくぐり抜けて、無事卒業できれば、その後の大学、大学院、社会に出てからの苦難など比較にもならないと言うのです。 それ故、多くの名だたる卒業生たちが、激励の講演をするために母校を訪れます。
一番つらいのは、本人は精一杯頑張っているのに、親と志望大学が折り合わないとき。 親世代と今では大学の入試制度も違います。 それを受け入れられず、親世代の物差しで子供の進学先にあれこれ言う家庭に、しばしば自殺する生徒が出るのも事実です。
悲報が伝えられるのは、大抵春休みや夏休みで生徒が家に帰っているとき。 親の期待にこたえられず、まだ若い命を絶つということは何をもっても防がなければなりません。 そんな悲劇的なことが起こらないように個別の進学カウンセリングは細心の注意をもって行われます。
評判の良いボーディングスクールには、必ず優秀な進学カウンセラーがたくさんいるのです。
我が家の場合は、進学カウンセラーは私に、
「どうか、これ以上頑張れ、って言わないで下さい。お子さんはもう充分に頑張っているんです。 親御さんは、お子さんがこの学校でちゃんと在学して順調に進級しているだけで、ものすごいことなのだと、ただ褒めて下さい。
人生で一番厳しい時期を過ごしているのですから。 そして、本人がこの大学を受験するんだと決めれるまで、最低でも20校は一緒に回って説明会に出て、面接をしてきて下さい。
この学校に入学させた親ならできるはずです。。。。」
と言うのです。
子供がこれほどがんばっているのだから、親が一年間で20校一緒に回ることくらい、大したことではないでしょう、という感じでした。
というわけで、春休み1週間、夏休み1週間、秋のペアレンツウイークエンド後の3日間の休みで、多いときは一日で600〜700km(東京〜姫路位)子供はまだ運転免許はないので、私一人で運転しながらホントに子供が選んだ大学を20校回りました。
ルートは子供が決めて、私はひたすら運転手。
1日に2回給油するくらい走りました。
姉は東海岸だけだったので、車で移動しましたが、弟のときは、東だけではなく、飛行機に乗って中西部や西海岸へも行きました。
日本の知人たちは、私をキチガイ扱いしていましたが、アメリカのボーディングスクールの親達が当然のごとくやっていることです。 そして、これはつまり、毎日の長いドライブを通して、子供と将来のことについて、ゆっくり話し合う時間をとるというのも、目的なのだということが、やっているうちにわかってきました。
例え親子で毎日一緒に暮らしていても、1週間以上一緒にいて、ず〜〜〜っと子供の将来のことについて語り合うという機会はなかなかないんじゃないかと思うのです。
このような貴重な機会を与えてくれるのもアメリカのボーディングスクールです。
大川 淳子
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