というご相談を、アメリカ駐在の方から受けることが時々あります。
確かに、アメリカで子育てすると、日本人としてのアイデンティティを確立することがどれほど大切か言われていた時代があります。
当時は、アメリカで日本人同士集まって、和食を作ったり、盆踊りをやってみたり、日本の文化っていうものを日本にいたとき以上に意識して何かやっていたような気がします。
大都市にはリトルトーキョーと呼ばれる古くからアメリカに住み着いた日本人の街があり、あるとき、そこで売られていたお饅頭を買って食べてみたことがあります。そしたら、ものすごく甘い!甘すぎる!!
おそらく、もう日本のどの老舗でもこんなに甘すぎるお饅頭は売ってないと思われる程、何十年も前の味でした。
試しに、近くのうどん屋にも入ってみました。中で働く女性のメイクや髪型がまるで、タイムスリップしたように昔のままでした。
壁には山口百恵のポスター。出て来たうどんも昭和の味。そもそも、天井が蛍光灯って、当時の日本の和食店でもありえないインテリアでした。
多分、その時代にアメリカに渡って来て、当時の日本のイメージがそのまま止まっているのでしょう。
彼らは日本人のアイデンティティを頑なに守ろうとしてきたのかもしれません。ところが、肝心の日本本土はもう随分変わってしまっているのです。
おそらく彼らが今日本にきたら、浦島太郎のような気分になるはずです。
見た目や食べ物だけでなく、日本に暮らす人びとの価値観も昭和の頃とは随分違います。
これが、宗教のようになにか聖書があるのなら、そのアイデンティティもずっと変わらずにいけたのかもしれません。
ところが、日本文化というのは、実は少しずつ変わっているし、日本の大衆の価値観も変わって来ているのです。
それなのに、自分が知っている日本を頑に守り続けていると、海外でも日本でも仲間がいない、変な人種になってしまいます。
これらは特にネットが使えない世代に多くみられます。
そして、日本人のアイデンティティを確立するためには、、、と言いながら、もう日本本土のどこにもない、独特な日本の文化を奨励したりするのです。
現代では、PCさえ使えれば、海外にいても日本のニュースもTVも新聞も簡単に見れますし、格安で日本の家族や友達とも顔を見ながら話もできます。
日本の食事はネットで注文すれば、送ってもらえるし、日本語の本だって、電子書籍で読めば送料もかかりません。
つまり、そんなに一生懸命にならなくても、海外に住みながら日本の文化に浸ることはできるし、少しずつ変わって行く日本についていくこともできるのです。
なので、私は折角のアメリカ生活、お子さんがいやがらないなら、思い切って、お子さんを現地の学校へいれることをおすすめしています。
その方が、はるかに広い視野と多様な価値観を受け入れる人間に育つでしょうし、そのような人材こそ、これからの日本が必要としていると思います。
大川 淳子
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